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食品と栄養 2

2019年5月2日

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脂質

 

水に不溶で有機溶媒に可溶な物質を総称して脂質と言い

ワックス、ステロール、トリアシルグリセロール(中性脂肪)、脂肪酸、リン脂質、糖脂質などがあり

食品においては中性脂肪が代表的、三大栄養素の中で熱量が最も高く、エネルギー源として重要です。

脂溶性ビタミンの吸収に関与したり、必須脂肪酸の供給源として、またうまみにも関与します。

・ワックス

脂肪酸と長鎖(高級)アルコールからなる固形の中性脂肪。

・ステロール

アルコールの一種で3位に水酸基を持つ炭素数27~29のステロイドの総称で

遊離型、エステル型、配糖体等の形で、自然界に広く分布する。

・トリアシルグリセロール

グリセロールに3つの脂肪酸がエステル結合した中性脂肪。

・リン脂質

細胞膜を構成する主要な脂質で、構成成分にリン酸を含む。

・脂肪酸

天然の脂質の加水分解で得られる脂肪族モノカルボン酸で

カルボキシル基が末端にある長鎖の一塩基酸、ほとんどは炭素数が偶数。

①    飽和脂肪酸

炭素間に二重結合を持たない脂肪酸で動物性油脂に多い。

②    不飽和脂肪酸

炭素間にシス型の立体配座を示す二重結合を有する。

n-6系多価不飽和脂肪酸

食用の油に多く含まれる、ジホモY‐リノレン酸やアラキドン酸は

ホルモン様作用を示すロイコトリエンや痛みを増強させるプロスタグランジン類へ代謝されます。

リノール酸を多く含む油脂は、血清脂質濃度低下作用を持っています。

n-3系多価不飽和脂肪酸

α‐リノレン酸を多く含むのはシソ油、青魚で熱に弱いため、炒め物に向いていません。

EPAはn-6系とは異なるプロスタグランジン類の前駆体であり、痛みを抑える作用がある

生理中はプロスタグランジンに敏感になるため、α-リノレン酸を含むものを摂取したり

月見草のオイルでマッサージをしたりすると良いとされています。

特にEPADHAは抗血液凝固や中性脂肪濃度低下作用を持っています。

n-6系、n-3系の不飽和脂肪酸は、いずれも生体で合成できないため

必須脂肪酸と呼ばれ摂取の理想は4:1になることが望ましいですが

食の欧米化によってn-3系の摂取が不足していると言われています。

・トランス脂肪酸

マーガリンなどの加工油脂の製造工程で、不飽和脂肪酸に水素を添加することでつくられ

自然界には存在せず、溶解する温度が上昇するなど物性変化が生じ

体内で代謝されにくく蓄積していきます。

 

・共役脂肪酸

リノール酸の構造異性体で、抗ガン

生活習慣病(抗動脈硬化、抗肥満、抗アレルギー)作用などが期待されていますが

まだ安全性が確立されていません。

・ステロール

ステロールは動物ではコレステロール、植物では植物ステロール(フィトステロール)が代表的で

ピーナッツ、ゴマ、大豆、さやいんげん、枝豆類に多く含まれ、コメ油からも抽出されます。

植物ステロールは細胞原形質の構成成分で、スチグマステロール、シトステロール

カンペステロールなどが知られており、コレステロールの吸収を抑制する作用があります。

体内での吸収率はコレステロールが50%であるのに対し、5%しかありません。

LDLコレステロールの濃度低下、HDLコレステロールの濃度上昇

血清中性脂肪レベル及び過酸化脂質低下作用も確認されています。

 

・構造脂質(ジアシルグリセロール)

天然には数%しか存在しないもので、トリアシルグリセロールとは異なる代謝過程を経るため

食後の血中中性脂肪の上昇を抑えたり

体脂肪が付きにくい特定保健用食品として認められています。

炭水化物

糖質としてエネルギー源となります。

日本人はエネルギーの55%を炭水化物から摂取しており、その大部分はデンプンです。

アミロース α14グルコシド結合だけで重合した直鎖状

アミロペクチン α16グルコシド結合による分枝鎖を持っています。

糖質の最小単位は、グルコース、ガラクトース、フルクトースなど単糖類

デンプン、デキストリン(食物繊維)は多糖類

フルクトースは最も甘味度の高い単糖

食事には、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロースなどの二糖類も含まれます。

糖質の代謝

インスリンは血糖値の上昇のシグナルを感知して、膵臓のランゲルハンス島B細胞から分泌され

肝臓糖代謝のうち、解糖とグリコーゲン合成、筋肉や脂肪組織へのグルコース取り込みを促進し

血糖値を低下させます。

脳は最大のグルコース消費臓器で、摂取した糖質の25%をエネルギー源として利用し

空腹時では70%を利用します。

これを維持するため、空腹時でも血糖値は70~110mg/dlに維持されています。

食物繊維

人の消化酵素で消化されない食品中の難消化成分の総体で

主要成分は炭水化物で一部リグニンなどの非炭水化物も含まれます。

一日当たりの目標摂取量は、成人で20~25g

30歳代以下での摂取量の著しい低下が指摘されており

2010年のデータでは目標値の70%しか摂れていないと言われています。

 

食物繊維の種類

①    不溶性食物繊維

セルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチンなど

 

②    可溶性食物繊維

ペクチン、植物ガムなど

小腸における他の栄養素の消化吸収を抑制することから

血中コレステロールの低下や血糖値の改善などに効果があります。

・オリゴ糖、糖アルコール

大腸で腸内細菌の餌となり、お腹の調子を整えるもの、虫歯発生の低減に寄与するもの

食後の過血糖を抑えるものなど、甘味料としても利用されています。

糖アルコールは、天然の単糖、二糖類の還元基であるアルデヒド基及びケト基に

水素添加してアルコール化することによりつくられます。

フィトケミカル

植物性化学成分で野菜や穀類、果物などの色素、渋み、香り、辛味などの成分で

多くは抗酸化力を持ち、ポリフェノール、カテキン、リコピンなどが代表的です。

各種フィトケミカルの機能性の研究は現在も続き種類や効能が続々と発見

解明され、ガンを予防する植物エストロゲン

果物と野菜の発ガン予防なども見つかっています。