2023年12月30日
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今回は肥満遺伝子の中で、洋ナシ型に分類される
UCP1という遺伝子についてお話したいと思います。
脱共役タンパク質遺伝子:UCP1 洋ナシ型
UCPはUncoupling Protein(脱共役タンパク質)の略です。
脂肪細胞は、私たちが普段脂肪と呼んでいるエネルギーを蓄える働きを持つ白色脂肪細胞と
エネルギーを燃やす働きのある褐色脂肪細胞に分けられます。
UCP1は褐色脂肪細胞のみに存在しており
この遺伝子に変異を持つ人は脂質の代謝が苦手です。
日本人の約25%が持っており
(ある研究では約半分の女性が持っているそうです)
この遺伝子に変異を「ホモ」で持つ場合
持たない人よりも基礎代謝量が一日あたり約100kcal低くなります。
女性に多く、下半身に脂肪がつきやすいことから洋ナシ型と呼ばれています。
代謝が低いというということは、エネルギーの消費が低いので
「節約型遺伝子」とも呼ばれており、この遺伝子を持つ人は省エネで活動できる反面
太りやすくなってしまいます。
洋ナシ型は、特に脂質の代謝に関係する遺伝子です。
腰周りや下半身に脂肪がつきやすくなる傾向がみられます。
特に寒い地方に多く分布しており
皮下脂肪を効率よく増やして寒さに耐えることができます。
脂肪が多いので、雪で食料の確保が困難な時にも
生存に有利な変異です。この遺伝子を持っていると平熱が
低体温(36.3度以下)の方が非常に多く、冷え性を持っていることが多くあります。
さらにリンゴ型の肥満遺伝子と複合で持っている場合
なんと約300kcalの基礎代謝阻害が起こります。
300kcalというとご飯約2.5膳分に相当するカロリーで
肥満遺伝子が無い場合と比べると、同じように生活していても
ご飯を2.5膳分多く食べてしまっていることになるので
かなり太りやすくなってしまいます!
「普通に生活しているのに太ってしまう」
という方はこのような状態になっている可能性があります。
洋ナシ型の人が冷え性になりやすい理由は
体温を下げて、代謝を下げることによって
消費するエネルギーを減らして
生き延びることに長けているためと言われています。
しかし、現代では、空調技術が進歩して
そこまで寒い環境にいることは少なくなったので
しっかりと体を温めて、代謝を高めてあげる必要があります。
この遺伝子は、筋肉にエネルギーである脂肪を取り込む働きがありますが
変異があることによって、その取り込みがうまくいかなくなっています。
その結果、脳が体に脂肪が足りていないのではないかと勘違いを起こし
揚げ物や洋食、肉など「脂肪」を好む傾向があります。
食事を抜くことに抵抗がなく
その代わりに一度にたくさん食べてしまう傾向があります。
この変異をお持ちの方は、
生活習慣病と関連が深い内臓脂肪は多くなく皮下脂肪が多いため
肥満でも生活習慣病にはなりにくいとされています。
筋肉量は少なくてもガッチリとした体型に見られることが多いです。
筋肉が硬く、リンパの流れも滞りがちで、セルライトを体に貯めやすい傾向もあります。
体組成を測ると、下半身の筋肉量が高めに出ることが多いですが
これはむくみによって水分が滞っている状態を機械が
筋肉と判断してしまっている場合があり
実際はそれよりも体脂肪率が高いことが多いです。
皮下脂肪をエネルギーに変える力が弱い傾向があり
皮下脂肪が厚くなりやすくなります。
そのため顔にも皮下脂肪がつきやすいため
肌が内側からパツンと貼った感じがするので
細かなシワは気になりにくくなりますが
血液の循環が滞りやすく
皮膚の表面温度も低くなりやすいため、新陳代謝も低下します。
そのため、肌の老廃物が上手く代謝できずに、
くすみや毛穴の汚れや目のクマ出やすくなります。
洋ナシ型のたるみ・セルライトを解消できるダイエットはコレ↓
洋ナシ型の方が心掛けるべきこと
UCP1は脂質の代謝が苦手なので、脳は脂肪を摂りたくなりますが
ここで重要なことは脂の量よりも質になります。
細胞膜は脂質でできていますので
魚やオリーブオイルなどの良質な不飽和脂肪酸を摂る必要があります。
特にオメガ3系脂肪酸は、血管の柔軟性を高め
血流を改善する働きがあるので、積極的に摂りましょう。
食事の際はまず野菜(茹でたり蒸したりして加熱したものがオススメ)を食べ
次にご飯などの主食を摂り、最後に揚げ物ではない主菜を食べます。
間食は控えて、こってりした外食が多くないかなど食事内容を見直しましょう。
控えるべき食品
脂質の多い食品である
揚げ物
肉の脂身
菓子パン
ケーキ
スナック
アイス
バター
マーガリンラード
クリーム
など
特にアイスクリームは吸収されやすい糖と
この遺伝子型が代謝を苦手としている脂肪を
両方豊富に含んでいる食材であり
さらに体を冷やすことから肥満を加速させてしまう原因になります。
また、生理中にどうしても甘いものや
脂質を多く含んだものを食べたくなってしまう方も多くいます。
このような場合、一概には言えませんが、
糖質や脂質といった栄養素が足りていないのではなく
ミネラルが不足しているケースがあるということも知っておかなければなりません。
重要なミネラルである鉄や亜鉛などが不足しているケースが非常に多く
何かが足りないということは分かっていても
なかなかそれがミネラル不足していると判断できないこともあります。
そのため、カロリーの多そうなピザやポテトチップス、ドーナツなどを見ると
脳は、これはカロリーが高いから食べれば
何かの不足が補えるのではないかと勘違いをして欲してしまうのです。
洋ナシ型の人に必要なダイエット法
ダイエットをするには、とにかく体温を高く保つ必要があるので
運動では、下半身の大きな筋肉を鍛え、
有酸素運動をするのがオススメです。
水泳など、体温より低い温度の水に
長時間浸かることはオススメできません。
ダイエット成功のカギは自律神経
自律神経は体温やエネルギーの代謝調節などあらゆる生命活動をコントロールしてくれている神経です。
脂肪を燃やすためには、この自律神経の働きの働きが欠かせません。
自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があり
身体の脂肪は、交感神経が働くことによって
エネルギーとして使える形に分解されて、筋肉に運ばれます。
ですから交感神経の働きが十分でない状態で
食事制限や運動をしても脂肪は燃えてくれないのです。
現代人が痩せにくい原因 モナリザ症候群とは?
なかなか痩せないという方の大多数は、交感神経の働きが低下しているという特徴があり
それを英語表記した時の頭文字をとって
モナリザ症候群と呼んでいます。
※MostObesity kNownAreLowIn SympatheticActivityの略称
このことから自律神経、特に交感神経の働きが悪いと痩せないということが分かります。
なかなか痩せなかったり、リバウンドを繰り返しているという方は
まず自律神経の働きを正常にする必要があります。
特に洋ナシ型の方は元々冷えやすい体質というお話をしましたが
冷えは自律神経を乱す最大の原因になりますので注意が必要です。
自律神経が乱れている時の症状
- 疲れやすい
- 睡眠障害(寝つきが悪い・朝起きられない)
- 気分の落ち込み
- 生理痛・生理不順
このような症状がある場合は、ダイエット効果が出にくくなっている可能性があります。
洋ナシ型のたるみ・セルライトを解消できるダイエットはコレ↓
執筆者
レゾナンスカイロプラクティック院長 中込 慶一
国際基準カイロプラクティック&パーソナルトレーニング レゾナンス代々木公園