ホーム > 記事 > プロフェッショナル向け > 腰痛と股関節周囲の痛み 骨のアライメントが引き起こす痛みについての検討

腰痛と股関節周囲の痛み 骨のアライメントが引き起こす痛みについての検討

2020年4月16日

カテゴリ
タグ

国際基準カイロプラクティック&Power Plate専門ジムスタジオレゾナンスです。

 

30代男性の症例です。

趣味でサッカーを数年前から始めたが、運動後に鼡径部や腰痛が出るということで来院されました。

 

訴えられていた症状は

 

①サッカーをした後の左鼡径部の痛み
②S2の左仙結節周囲が常に重い感じ
③体幹伸展時にL3の周囲に痛み

 

姿勢検査

股関節の内旋と下腿の外旋
骨盤の前傾と腰部の前弯の過剰
クレーンネック
下部交差症候群(Lower Cross Syndrome)

下部交差症候群では、腰椎部と大腿前面の姿勢を保つための筋肉

①大腰筋
②脊柱起立筋
③腰方形筋
④大腿直筋
が緊張、短縮し、骨盤の前傾亢進、股関節内旋変位となり
 
腹部と大腿後面の相動筋である
 
①中殿筋
②小殿筋
③腹直筋
④腹斜筋
が弛緩して機能低下を起こす。
 
その結果
 
・腰椎前弯の亢進によって椎間関節の垂直荷重が増大し
 
関節がぶつかり合うように押されるジャミング現象が起こり、後部椎間関節症候群の原因
 
 
・椎間板に前方への剪断力が増すことによって椎間板の変形
 
下肢への神経症状などを引き起こす原因

 

この症例では、両股関節の内旋は可動域、筋力検査の結果から下部交差症候群よりも前捻角に亢進によるものと推察された。

前捻角が亢進していることで、下肢を中間位にすると股関節における大腿骨の接地面は

関節の後方部分のみとなり、非常に不安定になる。

そのためそれをカバーするために股関節を内旋させて、関節の接地面を増やすような姿勢を取る。

股関節が内旋することで、内旋筋である小殿筋や大腿筋膜張筋が短縮し、骨盤が前傾していく。

その結果、腸腰筋の短縮、前傾した身体のバランスを保つために脊柱起立筋が緊張して体を起こそうとする姿勢が見られた。

 

整形学検査

SLR:(ー)
Patrick:左(+)

股関節後方に痛みと詰まり感

 

Kemp :両側共に(+) 

L3・S2周囲 下肢への放散痛無し

 

 

徒手筋力検査 MMT

大腰筋  4/5

腸骨筋  4/5

縫工筋  4/5

内転筋群 4/5

大殿筋  4/5

腹直筋  4/5

大腿直筋 5/5

中殿筋  5/5

梨状筋  5/5

 

 

股関節伸展ファイアリングシークエンス

伏臥位での股関節伸展での筋肉の発火順序を診ていくと

正常では

ハムストリング→大殿筋→対側起立筋→同側起立筋

となるが、今回の症例では両側共に

 

ハムストリング→対側起立筋→同側起立筋

という順序になっており大殿筋の収縮がスキップされ

また対側の下肢の屈筋を使った代償がみられた。

このような発火順序の乱れが腰椎への過剰な負担に繋がっていると考えられる。

 

腰部多裂筋の働き

 

椎間関節の関節包の挟み込みを防ぐ
腰椎を安定させる

 

通常の多裂筋が正常であれば、触診で弾力性が感じられるが

 
この症例では、腸腰筋の緊張によって拮抗筋である多裂筋が機能低下→萎縮し、触診では盛り上がりが消失し

 

脂肪に置換しているような感触が触知された。

フィクセ―ション検査

 

LPIN:左仙腸関節後方回旋 
L4P→A(後方→前方)過可動性
股関節P→A(後方→前方)制限

 

前捻角の亢進と運動パターンの異常による痛みのメカニズム

 

 

前捻角の亢進 

股関節の内旋

大殿筋・深部外旋筋の弱化

骨盤の前傾

腸腰筋・大腿筋膜張筋・小殿筋の短縮拮抗筋である多裂筋の弱化、萎縮・股関節伸展制限 → 運動後の鼡径部の痛み

脊柱起立筋の緊張・腰部前弯亢進

多裂筋の萎縮・股関節伸展制限と相まって代償運動による腰部椎間関節への負担増加

腰部椎間関節機能障害による痛み

 

評価

 

 

①サッカーをした後の左鼡径部の痛み

前捻角の亢進に伴う代償によって、股関節インナーマッスルのアンバランスが生じ

協調性が取れていない状態でサッカーのような不規則な運動を行ったために

弱化した腸腰筋に過剰な負荷がかかり、鼠経部に痛みが生じたと考えられる。

 

②S2の左仙結節周囲が常に重い感じ

後仙腸靭帯と多裂筋の脂肪組織化による中殿皮神経の絞扼の疑い。

腸骨筋トリガーポイント。

 

③体幹伸展時にL3の椎間関節に痛み

股関節の伸展制限によってファイアリングシークエンスに異常をきたし

腰部での伸展代償運動が生じて、椎間関節機能障害による痛みを生じたと考えられる。

 

治療計画

 

徒手療法

 

治療の初期段階ではサッカーを中止してもらい、治療に専念。

MMTの結果から股関節の矢状面を中心とした筋肉の機能低下が顕著であるため

まずそれに関わるインナーマッスルの反応を回復させることを主眼に置いて治療をおこなった。

次に股関節の伸展可動域の回復とファイアリングシークエンスの正常化

立位での筋バランスの正常化を行い、徐々に運動療法を加えていった。

 

 

運動療法

多裂筋・腹直筋の強化

腰部の伸展が過剰になってしまうものを多裂筋と腹直筋を強化していくことで

安定させていくことを目的としている。

 

■プランク

腹圧を全体的に高めて腰部の安定性を高めていく。

 

■多裂筋単独収縮エクササイズ

多裂筋のエクササイズは他の筋肉を反応させないようにするのが難しいが

ドクターが正しい動きと感覚を誘導していくことで

立位での過剰な腰部の前弯が改善していった。

 

 

大殿筋・深部外旋筋の強化

 

 

■クラムシェル

当初は患者が殿筋の収縮を感じることができず

さらに最大まで開排すると腰部に痛みが出ることから

痛みの無い可動範囲での運動に留めて行った。

ドクターの抵抗や固定の位置を調整しながら続けていくことで

殿筋を使う感覚が養われ、最大可動域での腰部の痛みも消失していった。

 

■シングルレッグスクワット+ロウイング

腰部の安定のために胸腰筋膜を活性化させるために

選んだエクササイズ。

 

 

経過

 

・2回の施術後、インナーマッスルの筋力は回復
・5回の施術で内転筋の筋力5/5
・8回の治療後に立位でのLCSによる筋の過緊張が消失
・11回の治療後、股関節伸展ファイアリングシークエンスが正常
・運動療法メインのセッションへ移行

24時間受付
体験・初診の
ご予約はコチラ

月~金 10:00~14:00、15:20~20:00(最終受付) 土、日 10:00~14:00、15:20~18:40(最終受付)
(休診時間 14:00~15:20)